登山ノススメ
初級冬山装備編その3・生活時

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     └―冬山の食料について

生活時の装備

  • 食料
    食事は基本的には1日2食です。昼に腹いっぱい食べると、その後の行動に大きな支障をきたします。昼は行動中や休憩中に暖かくて甘い飲み物(特に紅茶がよい)、甘くて消化のよい食べ物を食べながらいくとよいでしょう。(冬山の食料について)


    • 朝は0.6〜0.8合、夜は1.0〜1.4合、自分の食事の量に応じて持っていきましょう。冬の場合、極度の緊張にさらされるので、甘いものばかり欲しますが、普通の食事をとる食欲には欠けてきます。

    • おかず
      おかずは基本的にかさばるので、とにかく軽量化を心がけます。冬は装備が多いので、体力の温存のためにも、夏のようにレトルトを持っていくのはやめたほうがいいでしょう。

    • 行動食
      上記のとおりです。

    • 飲み物
      とにかく暖かいものを飲みます。行動中は朝のうちにテルモス(下記)に入れた暖かい飲み物を飲みます。

    • 非常装備と予備食
      冬山では天候不順や不慮の事故等により、行動不能になったり、時には引き返さなくてはならない確率がグンと上がります。そんな時にこれを用意しておかないと、行動に支障をきたすだけではなく、時としては死に至る場合さえあります。必ず用意しましょう。

      非常食はスニッカーズやビスコ、板チョコレートといった甘いもの、非常装備はレスキューシート、ロウソク、缶メタノール(燃料の代わり)、薬品やバンドエイドなどの衛生用具を用意します。

      予備食は5日の予定であれば3〜4日分、10日の予定であれば6〜7日分用意します。これは天候不順で進めないときのほか、パーティ行動のときに誰かが怪我で下山せざるを得なくなったときに「エスケープ時食料」用として用意しなくてはならないからです。エスケープルートをたどってもは必ずしも1日で下山できるとは限りません。ですから予備食は多めに用意します。

      予備食は不慮の事態にならなければ使わないものなので、なるべく軽いものにしましょう。即席ラーメンやジフィーズ(乾燥食品)などが標準です。

  • テント装備一式(テント設備と設営法参照)

  • スノーエンピ
    雪を彫るためのシャベルのことで、プラスティックやアルミなど、軽い原料でできています。主にテント設営や雪洞を掘るときに使います。

  • スノーソー
    雪を切るためののこぎりのことで、これは普通ののこぎりで代用できますが、できるだけ柄の長いものを使います。用途はスノーエンピとまったく同じです。

  • ナイロンほうき、ちりとり、たわし
    テントに入った雪を取り除くために使います。とにかく「テント内はぬらさない」ということは冬山において最低限の鉄則のひとつです。

  • テントシューズ
    テント内で足先の冷えや靴下の濡れを防止するために使います。外にちょっと出るときにもこれを履いたまま使え、わざわざブーツに履き替えずにすみます。

  • 銀マット
    テントの床に敷くものです。これを敷かないと、ものすごく床下が冷えるし、人間の体温で雪が解けて、テントがびしょぬれになります。¥1000前後

  • クルクルマット
    寝るところの敷き布団の役割をします。これがないと翌朝、かなり腰や背中にきます。¥1500前後。中に空気を注入してよりクッションの役割を果たす優れものもありますが、あまり購入者はいないようです。

  • シュラフ
    寝袋のことです。安物を買うと生死にかかわるので、これはしっかりとしたものを買うことをお薦めします。
    安いものとなるとナイロンオンリーのもので¥3000くらいからありますが、とにかく薄く、冬山ではまったく役に立ちません。表張りナイロン+羽毛のシュラフ(¥11000前後)があれば言うことなしです。それでも朝方は氷点下20度は当たり前なので、フリースの毛布(¥4000前後)で足元を覆ったり、ゴアテックス(蒸れず、濡れずを謳った、最も優秀な合成素材)製のシュラフカバー(シュラフの上にかぶせるカバー。¥16000前後)をシュラフの上にかぶせるとかなりマシにはなります。

  • ラジオと天気図
    NHKラジオ第一放送で朝10時と夕方16時、夜の22時に気象放送をしますが、これの専用の用紙が大きな本屋で販売しています。この放送は各地の気象、風速、風向、高気圧や低気圧の位置、前線の位置などを細かく放送するものです。もし翌日の天気を詳細に知りたい場合、この天気図を書き取るほかに、「観天望気(数時間ごとに風向、風力、雲量、雲行を観察すること)」をし、それらを分析して天気の予測をする「気象解説」という技術が必要になってきます。なお、GW、お盆、年末年始には短波放送で「高層気象情報」が朝の5時30分から5時40分の間放送され、これはまた別の天気図が必要です。 両放送とも、早口なので、書き取る練習をする必要があります。とりわけ高層気象情報の方は、放送時間枠が少ないために、非常に早く喋ります。 注意しましょう。

  • ヘッドライト
    これがないと、日没後に何も見えなくなってしまいます。なお、早朝行動の際にもこれがないと前が見えにくいので、必需品です。

  • 電池と豆電球の予備
    豆電球の予備はヘッドライトに付属されているものもあります。電池はヘッドライト電池が4つ一組で5日行動の場合は3セット(12本)ほどの予備が必要です。これはマンガン電池ではなく、必ずアルカリ電池にしましょう。比較的消耗が早いので、この予備は多いに越したことはありません。なお、ラジオの予備電池として持っていくのもよいでしょう。

  • ナイフ
    これがあると様々に役立ちます。食料を切るにも、パッケージを切るにも、様々な用途に使えて便利です。これはゴム紐か何かをつけて、テント内では携帯しておくとよいでしょう。

  • 火器
    EPIガスやイワタニ、キャンピングガスなどといった各メイカーが発売しているガス燃料が標準的です。火がつく「ヘッド」部分と、ガスのカートリッジに分かれています。カートリッジはスモールとラージがありますが、5日くらいの中期縦走であれば、カートリッジは予備を含めてラージサイズで2つくらいは必要です。ヘッドは申し訳程度の小さなものから、何もここまでという非常に大きなものまでありますが、大体は「申し訳程度」よりももう1ランク大きなものを買っておけば十分です。¥7000前後。カートリッジのラージサイズは普通用はガスが気化せず、役に立たないので、寒冷地用を使います。¥850前後。

    なお、冬山で一般的に使われるものとして他にも石油燃料と、ホワイトガソリン燃料の火器があります。これは「コールマン」という海外のメイカーなどが販売しています。スタンドと本体に分かれているものが標準的で、百回から数百回、ポンピングして燃料の入っている缶に空気を入れ込み、燃料を気化させてから火をつけるので、つけるのに5分ほどかかります。これらはガス燃料のものに比べると多少割高になり、¥10000を超えるものが標準です。

    石油燃料は着火点が高いので安全性に優れていて、しかも燃料の重量そのものが軽いという利点があります。ホワイトガソリンは寒い状態においても火力が衰えないという利点がありますが、逆に着火点が低く、取り扱いを誤るとテントごと火だるまになることもあるので、注意深く扱わなくてはなりません。

  • ライター
    これがないと。石油、ホワイトガソリンのコンロに火がつけられません。ガスコンロでも、時々着火装置が壊れるので、あるに越したことはないでしょう。

  • コッフェル
    「コッヘル」とも言われますが、正確には「コッフェル」です。要するに小型携帯用の鍋のことです。これも非常に小さなものから大規模なものまでありますが、直径18cmほどの大型鍋と、それより一回り小さな鍋がセットになっているもの(¥7000弱)で十分です。大体は大鍋と小鍋がセットになっており、さらにランクを上げるとやかんもセット(¥9000前後)になっています。複数パーティの場合で1セットのコッフェルを使う場合はやかんが役に立ちますが、1人か2人くらいであれば鍋二つのセットで十分に事足りるでしょう。

  • じょうご
    テルモス(下記)にお湯を入れるために必要です。

  • テルモス
    保温ができる水筒です。行動時の飲み物用として1本、生活時にお湯を作るときに水を溶かすためのものとして1本、計2本必要です。500ml程度の大きさで十分です。

  • バール
    ボウルとも言います。要するに皿のことです。よくあるプラスチックで皿とコップがセットになったもの(¥1500前後)でも問題はありませんが、ステンレスで直接火にかけられるもの(¥3000前後)があります。これはちょっとお茶やコーヒーを飲みたくなったときに非常に役に立ちます。

  • ブキ
    食器のことです。主にスプーンのことを「ブキ」といいますが、フォークなどの総称にも使われます。スプーンとフォーク、1本ずつあればまず大丈夫です。家から持ってきましょう。

  • スポンジ・・・冬では必要不可欠です。水は雪を溶かして作ります(別記)が、この際に水が結露してコッフェルの表面に浮いてくるので、スポンジで拭き取ります。冬山においては、テント内を濡らさないことが最低条件の一つなので、気をつけましょう。

  • トイレットペーパー
    様々な用途で使えますが、とりわけコッフェルやバール、ブキなどを洗った後、拭くために役立ちます。他にも鼻紙として使えますし、冬は当然トイレがないので、用を足すときにも使えます。特にウンチを処理するときはしっかりと穴を掘り、処理後はそれをしっかり埋めましょう。風でトイレットペーパーのみならず、ウンチも飛びます。本当です。

    なお、これは意外と消耗します。普通のダブルのペーパーであれば二つあってもいいくらいです。これはかさばらないように、あらかじめ芯を抜いて持っていきましょう。

  • 金属プレート(のようなもの)
    火器や調理中のコッフェルの下に敷きます。雪上は不安定なので、コンロの下にこれを噛まさないとひっくり返ってしまいます。小型まな板などがあれば、それを代用してもかまいません。これは中に小型包丁、缶切り&栓抜きが入っており、非常に役立ちます。¥2000くらいで売っています。

  • 軍手
    調理中、コッフェルは熱いのでこれをつけます。

  • 布テープ
    意外なほど、様々な用途で使えます。多めに巻き取って持っていきましょう。

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