駅寝ノススメ
初心者のための駅寝講座

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駅で寝ることには、ホテルや民宿で泊まることに比べて、いくつかのメリットがあります。タダで屋根のあるところで寝ることができる、ある程度の人通りがある、もしくはなくとも民家があるはずなので、ある程度は安全の保障がある、奇妙な体験ができる、など。
デメリットももちろんあります。野外なので、気候に左右される、人通りが多いと寝づらい、ヤンキーに絡まれたりはしないか、など。
したがって、周りの環境や人目を気にせずに寝ることができる神経の太さがないとできません。「恥ずかしい!」と思ったら、その時点で、民宿に泊まったほうがよいでしょう。
が、その度に宿泊代がかかるのは経済的に困る!ということで、初心者がいかに気兼ねなく駅寝ができるか、ということを紹介します。


  • 一緒にきてくれる人

    男性は特に問題ないと思いますが、女性が一人で駅寝をするのは、かなりのリスク、精神的な不安を伴います。女性はせめて2、3人を伴うか、タフそうな男性(ダーリンでもよい)の近くで駅寝をしましょう。

    もっとも、「そんなの、大丈夫さ!」という人には余計なお世話ですが。

    私の自転車の旅の途中に出会った女性は、ほとんどがお一人でした。

  • 交番に聞く習慣をつける

    駅構内、もしくは駅のすぐ近辺には、必ずといっていいほど、交番があります。この「全国駅寝地図」を参考にしていただくのは非常にありがたいのですが、これはあくまで「駅で寝る」ことの参考資料です。コインランドリー、銭湯などの正確な位置は、地元の方のほうが知っていて当然なので、駅に着いたら交番で近辺のことについて聞いてみましょう。中には、周辺地図(観光者用)を下さるところもありますし、お茶を出して下さったところもありました。皆さん、概して旅人には親切です。

  • 虫の被害

    夏は暑いので、シュラフなしで寝ようとすることもしばしばですが、とにかく田舎で野ざらしで寝ることは避けるべきです。ぼくの場合、川沿いで寝ていて蚊に刺されまくり、ほとんど寝られずに翌日の行動に大きな支障となったことがあります。
    他にも、田舎駅の待合室で、こうこうと灯りが点いているようなところにも、虫が大量に集まってきます。特に自動販売機や電話ボックスの近くで寝ると、翌日のことは保証できません。
    対策としては、虫除けスプレーや蚊取線香などもありますが、スプレーははっきり言って効き目ゼロだし、蚊取線香はうっかり寝返りを打って身体に当ててしまうと、結構切羽詰る事態もありえるんで、やめたほうがいいと思います。

  • 寝るスペースの確保

    別に、シュラフ(寝袋)を敷けるスペースがあればいいのですが、少しでも人目のつかないところで寝たい、と思うのが心理でしょう。

    人間の習性として、つい人の多いところへ行ってしまいがちですが、駅寝をする場合、「ここ、人が多いな」と思ったら、反対側の出口に行ってみましょう。よほどの大きな駅でなければ、必ず、より快適なスペースがあるはずです。

    が、大きな駅の場合、そうはいかないこともあるでしょう。そんな時は、大きな駅には必ず存在するであろう駅ビル、デパートの入り口へ階段の上などがお勧めです。閉店後には人が全く通らなくなるので、落ち着いて寝ることができるでしょう。

    小さな駅の場合はその限りではありません。無人駅ならばなおさらで、待合室を占領、などということもできます。

    田舎駅の待合室などは、座布団が敷いてあったりすることが多く、都会の駅よりもずっと快適に寝ることができるでしょう。ただし、入り口の引き戸にカギを閉めるのはやめましょう。翌朝、初電に乗る人が入れなくなります。私はそれで、怒られたことがあります(笑)。

    なお、北海道では、多くの地域で駅が存在しません。その場合の手段として、道の駅やバス停で寝るというのは非常に有効です。

    道の駅は、国道の数十kmに一ヶ所はあり、必ず広いスペースや水道、トイレ、電話があります。中には裏手に無料キャンプスペースを設けているところもあります。ただし、トラックが多く停車していて、エンジン音がうるさいという欠点もあります。

    バス停は、本州のバス停とは違い、気候の変化が激しい北海道の田舎バス停には、小さいながらも、待合室があるケースが多く、中に入って、カギを閉めてしまえば、完全なマイルームにできます。バスは一日に数本しかない場合がほとんどなので、朝寝坊さえしなければ、人に咎められることもないでしょう。加えて、バス停に自転車を置いて通勤、通学、というケースが多いので、バス停の隣に自転車を止めるスペースすらあります。これらは、隠れた名所です。

  • 食料の確保

    小さな駅では、周辺に何もないケースもあります。すると、食事に大いに支障をきたし、翌日は腹ペコで出発などということもありうるので、食料は必ず、その日の行程が終わる前に買っておきましょう。

  • 水の確保

    駅には大抵、水道があります。まあ、8割はあると言っていいでしょう。しかし、ひどく寂れた駅の中には、水道がないことがあります。そんなときはどうするか。

    これはトイレがあれば解決します。どんなに汚いトイレでも、ほとんどに手を洗うための水道が備え付けてあるので、これを利用しましょう。衛生的に少々心配かもしれませんが、煮沸さえすればまず大丈夫です。
    それでもいやだ!(幽霊便所のようなところだから、とか)、とか、仮に水の確保ができない場合、確保している食料(ラーメンとか、温めなくてはいけないものだとか)によっては飯が食えなくなることがあります。それでは非常に困ってしまうので、持参品にポリ容器のタンク(通称ポリタン)を持っていき、水道のあるところであらかじめ水を確保しておきましょう。2リットルの容器であれば、2食分(夜と朝)は確実にもつし、きれいな水であれば補給水としても使えます。ポリタンはアウトドア用品店、登山用品店で売っています。

  • 風呂

    銭湯や温泉などの入浴施設は概して、月曜日や金曜日が定休日であることが多く、うっかり風呂には入れない、なんてこともあります。

    また、必ずしも入浴施設が各地にあるわけでもありません。

    したがって風呂には入れない日もあるということは必ず念頭に入れておくべきです。こういう旅ですから、スマートにできなくてもいいや、という開き直りは必要でしょう。

  • 洗濯は早めに

    長い間旅行をしていると問題になるのが「洗濯」です。

    普段、我々は洗濯機で洗濯できるし、そうでなくても周辺にコインランドリーがあることがほとんどなので、意外と盲点なのですが、いざ旅をしてみると、意外と駅周辺にはコインランドリーがなく、さあ、洗濯しよう、という時になってコインランドリーがないと、結構ひどいことになります。洗濯代はたかだか知れているので、ケチらずに早めに洗濯をしましょう。

  • 駅寝ができないところもある

    中には、「駅寝禁止」という駅もあり、そこで寝ようとすると、追い出されます。「治安維持」や「一人を許したら、みんながやる」などの理由です。

    そんな時は、隣駅で寝るのがよいのでしょうが、隣駅が今まできた道から大きく外れていることもありますし、もう疲れていて、これ以上進みたくない、ということもあるでしょう。

    そこで、駅周辺から少し離れたところには必ずあるであろう、公園を探すことをお勧めします。余程のことがなければ、見つかります。ただし、完全な野ざらしになると、寝ている途中で雨が降り出したりした時にひどい目に遭うので、物置の中、遊具の中、そうでなくても、せめて大きな木の下などで寝ましょう。

    こういう時に求められるのは、頭の切り替えの速さと、柔軟性です。駅で寝ることができない時、落ち込んでいる暇があったら、代わりにどうするかということを素早く考えたほうがいいでしょう。翌日も行程は続きます。疲れを残さずにぐっすりと眠りたいものです。

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