ちゃりだーノススメ
初心者のためのチャリダー講座3 走行にあたって

アウトドア講座インデックス
   ├─1.自転車とその装備
   │  └─ロードとマウンテンの部位の説明

   ├─2.キャンピングスタイルの装備
   └─3.走行にあたって(Here)


  1. 時計について

    第2章で申しましたが、私は自転車旅行に時計を持っていくことはしません。何故なら、実際に持っていても、時間を知る必要性がほとんどないからです。最初の数日間は、旅行のリズムになれず、また、肉体的な疲労も大きいために寝過ごしの心配もありますが、4〜5日経つとリズムが出来上がります。

    私の場合は不思議と8時間前後寝るとぱっと目が覚め、それ以上寝たい欲求もなくなり、また前日の疲れも取れていました。

    太陽が出るとともに出発し、沈んでやることを済ませてしまえば寝るという前近代的な生活が、自然に感じられたものでした。

    それ以来私は、自転車旅行や島探検の際には時計を持っていくことをやめたのです。ただし、山は時間と天候との駆け引きが最も重要な要素の一つなので、時計を欠かすことはできませんが。

  2. 走行距離と時間

    時間の確認はいつも、休憩するコンビニやドライヴインなどでしました。それによる統計なので、あまりはっきりとしたデータではありませんが、走行距離は地図による確認なので正確だと思います。なお、これはあくまで私のデータであって、走行距離や走行時間などは走っているうちに各々のペースを作り上げることがベストだと思います。

    タイムテーブル

    時間 行動
    5:00

    6:00〜6:30

    11:00

    16:00〜16:30

    17:00

    20:00
    起床
    (この間朝食)
    出発

    昼食

    行動終了

    夕食

    就寝

    まぁなんともいいかげんな図ですが^^;、概ねはこのような感じでした。

    睡眠時間は8時間、走行時間は6〜6.5時間、休憩時間が3.5時間〜4.5時間です。大体、1時間走って30分休憩していました。

    走行距離ですが、道路状態がよい場合は平地で23km〜26km/1h、下り坂中心の道であれば30km〜40km/1h、上りばかりの道であれば8km〜10km/1h、徒歩よりもより、道路条件によって走行距離が変わってきます。主に普通の国道を走る場合の1日の走行距離は120km前後で、多い場合は140kmくらい進んだこともあります。峠越えが多い日などは1日に60km〜80kmしか進めないこともあります。私が25日ほど旅行したときの平均速度は20km〜21km/hでした。

  3. 長距離走行にあたっての注意点

    疲労は蓄積されるものです。気づかないうちに局所を痛めている場合があります。私は元々膝に爆弾を抱えているので、毎日の身体のチェックは欠かしませんでしたが、それでも膝を痛めたことが度々ありました。

    自転車走行では特に、膝、腰、背中に負担が集中します。要因は膝に関してはペダルをこぐ際にペダルに加える力とペダルから跳ね返ってくる力が集まるため、腰は長時間同じ態勢でいることと、サドルにかかった体重が跳ね返ってくるため、背中は長時間同じ態勢でいること、特に上り坂では背筋の力を要するために負担が増大します。これらを防ぐ方法は残念ながらなく、軽減するには同じ態勢ばかりを続けないこと(詳細は後述)、そしてその日の行動が終了した後にしっかりとストレッチと筋肉マッサージをすることです。

    他にも重い荷物を積んでいるときはよりその負担が増大します。

  4. 雨の日の走行

    • 雨の日の体力の消耗

      体力の消耗というのは、体温の上下幅が激しい、すなわち運動時において36.8度〜37.5度の間を上回っても下回っても体力を消耗するということです。日差しが強く、体温が上がってしまう場合には飲み物を少しずつゆっくり飲むことで体温を下げることができ、また日焼け止めクリームを塗ることでも効力を発揮します。

      体温が36度前後まで下がると運動能力が著しく低下し、体力の消耗が激しくなります。そしてこれは雨の日の走行で起こりうることなので、雨の日の走行に関しては十分な注意が必要です。

      これを防ぐにはまず、前日に睡眠をしっかりと取ることです。一つは体力の消耗を防ぐ点にもありますが、雨の日の走行は普通のときに比べてはるかに注意力が必要になってくるので、睡眠不足だと集中力に欠けて、大きな事故につながることもあります。睡眠不足での雨の日の走行は非常に危険です。

      次に、重ね着(レイヤード)を上手に活用することです。一番下の服(肌に接する服)をなるべく濡らさないことが体力の低下を防ぐことになります。ですから雨具を着ることでかなり濡れなくなるので、きちんと雨具は着ましょう。

      そして雨の日の走行でも汗はかきます。汗をかくと、汗が冷えたときに一気に体温を奪う結果となるので、汗をしっかりとふき取って、濡れていない服に着替える、もちろん休憩の度に着替えるわけにもいかないでしょうから、せめて体を冷やさないように休憩中は暖かい飲み物を飲んだり、暖かい食べ物を食べましょう。

       
    • 雨の日の走行時の注意点

      まずは視界が悪くなります。ひとつは雨でぼやけるというのもありますが、雨具の頭部の被り物が視野を狭くするという要因もあります。前や横、後ろから車やオートバイが走行、とりわけ北海道では非常に早いスピードで走行していますので、ボンヤリしていると接触されそうになり、危険です。

      もう一つは対向車と追い越し車についてです。後ろから猛スピードで、とりわけトラックに抜かれると、抜かれた瞬間に烈風と水飛沫が背中を叩きます。これがくるとわかっていれば、追い風で多少走行が楽になると気楽になるものですが、わかっていないといきなりの烈風と衝撃でバランスを崩して転ぶ場合があります。

      さらに危険なのは前からトラックが猛スピードで走り抜けていくもので、走り去った瞬間に右前方からものすごい烈風と水飛沫がきて視界をふさぎ、さらに自転車のバランスを大きく崩します。これはわかっていても必ずまっすぐ進めなくなり、多少ふらふらして大きな危険が伴います。これを防ぐには、前方からトラックがきた瞬間に身体ごと空気抵抗を受けない様に平らに沈み込ませることです。自転車走行時に一番空気の抵抗となるのは、乗っている人自身なので、こうすることでその抵抗は軽減されるわけです。大型トラックの場合、烈風が吹き抜けていくのは大体1秒くらいです。

  5. 坂道の走行

    上り坂の走行は走行者にとってもっとも負担となるものです。とりわけ峠越えとなると、その登りは数km、時には10kmを超えることすらあります。

    上りの時、押して歩くくらいであれば、休憩すべきだと私は考えます。なぜなら、押して歩いても1時間に3kmくらいしか進めず、逆にいくら遅かろうが、自転車に乗って走行していればその倍から3倍は進めるからです。ここまでくると精神力も大きく作用しますが、自分にとって可能であると思う限りは自転車から降りるべきではないと思います。降りたいと思うのであれば休憩をしたほうがよいでしょう。

    また、上り坂では肉体、とりわけ背中に大きな負担がかかります。上りではハンドルを腕で引き付けて走行するために、腕の力の源となる背筋を使うことによります。これを軽減するには、立ちこぎと座りこぎを交互に繰り返すことです。座りこぎばかりをすると腰と膝に来、立ちこぎばかりをすると腕と背中にきます。

    なお、上り坂を走っているときに休憩すると、あまりにも疲れて寝転びたくなりますが、これは筋肉が硬くなってしまい、再開したときに肉離れを起こすことがあるので、我慢しましょう。

  6. 冬季について

    冬季はまず、日本海側、東北、北海道を走ることはやめたほうがいいでしょう。理由は言わずもがな、雪が凍り付いて道がすべることと、極端に寒いからです。走るとしても、四国、瀬戸内、関東より南の太平洋側、九州や沖縄に限定されます。

    冬は夏よりもはるかにレイヤードの効用が重視されます。体温の調整が非常に難しく、下手に体温を下げるとあっという間に体調を崩すことになり、危険度が増します。そこで防寒具などを持っていく必要がありますが、これはかさばるので夏よりもかなり荷物が増えます。そのことは覚悟しましょう。

    なお、睡眠時も当然一桁まで温度が下がり、時には氷点下に突入します。シュラフは安物ではまったく寒さを凌げず、悲惨な結果を招くことになります。シュラフに加えて、シュラフカバー(登山ノススメ参照)を持っていくことを強く勧めます。シュラフカバーをして寝ていても、翌朝には夜露がシュラフに凍りつくこともしばしばです。

    しかし、いずれにしても冬季チャリダーはあまり勧められるものではありません。

  7. 全般的なこと

    走行の敵は他にも「向かい風」「横風」「埃」「悪路」などがありますが、とりわけ風は強敵です。中でも横前方から吹く強い風は自転車のバランスを崩したりして非常に走りにくくなり、その日の行動に大きな支障となります。

    そうした不確定要素で、必ずしも立てた予定が予定通り消化されるとは限りません。ですからあまりはっきりとした予定を立てるべきではないでしょう。多少のずれが許される、ゆとりのある計画を立てることで、走行時にも余裕が出てきます。そうなったときに、途中で予定を変更するもよし、別のところにいきたくなったので輪行するもよし、です。

    一人で走ることは自己責任が伴ってきますが、それの範囲内であれば、多少危ない橋を渡るのもありで、それこそ一人でないとできないことでしょう。都会、日常でいつも誰かといる世界にいることが、私たちにとってあまりに普通である現代、時々その日常から飛び出してみることで、様々なことが見えてくるものだと思います。

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